GmailがPOP受信を2026年に廃止へ|メール難民続出?今すぐ取るべき対策とおすすめ代替策

2025.12.242025.12.24

その他 ビジネス マーケティング

GmailでのPOP受信が2025年12月31日をもって終了することが発表されました。Yahoo!メールやOutlookにGmailの機能を適用するGmailifyも同時に廃止となります。発表が2025年9月、3か月後の2026年1月からサポート終了となります。

Gmail の Gmailify と POP の今後の変更について
https://support.google.com/mail/answer/16604719?hl=ja

Gmailをメーラーのように利用できるこの機能は非常に有益で長年愛されてきました。Gmailのメールアドレスと他社メールを一元管理できるだけでなく、Gmailの誇る強力な迷惑メールフィルターを使えるという大きなメリットがありました。この機能がなくなることで影響を受けるユーザーが多数いることが予想されます。

一方で、「Gmailが止まる!?」といった誤解を生みそうな見出しが飛び交い、Gmailのサービスそのものに何か問題が出るかのような誤解が広がっているようにも感じます。今回の発表による影響を整理し、対象となるユーザーへの代替策などをまとめます。

2026年1月に起こること

POP受信機能およびGmailifyの廃止です。非常に便利な機能ではありますが、Gmailユーザー全員が使っている機能というわけではありません。影響を受けるユーザー層も限られます。下記機能を使っていないユーザーには基本的に関係ないと言えます。Gmail本来の機能には何ら影響はありません。

POP受信機能

プロバイダのメールや独自ドメインのメール(さくら/エックスサーバー/GMOなど)などをGmailで受信するための機能です。(誤解を恐れずいうと)Gmailをメールソフトのように使うことができる機能です。他社メールをダウンロード受信してGmailに取り込みます。

Gmailify

Yahoo!メールやOutlookのような他社のSass系のメールにGmailの迷惑メールフィルター、カテゴリわけなどを利用できるようにする機能。Gmailの高い機能性を他社メールでも使用できるようになります。

レンタルサーバー各社の対応

このニュースを受けて、レンタルサーバー会社からもそれぞれアナウンスが行われています。レンタルサーバーのメールアカウントをGmailで受信することで、Googleのスパムフィルターを使用していたユーザーが多かったことの現れではないでしょうか。

【重要】Gmail仕様変更(外部メール取り込み機能の終了)についてのご案内(エックスサーバー)
https://www.xserver.ne.jp/news_detail.php?view_id=17164

GmailのPOPサポート終了についてのご案内(さくらインターネット)
https://help.sakura.ad.jp/notification/n-2676/

【重要】Gmail仕様変更に伴う外部メール取り込み機能の廃止について(2026年1月以降)(GMO)
https://www.onamae.com/news/article/11262/

ある日を境にGmailでメール受信できなくなると、クレームがレンタルサーバー会社にいってしまう可能性があるため、各社対策しているというところでしょうか。

POP受信廃止で困るのはどんな人?影響を受けるユーザー層をタイプ別に整理

GmailのPOP3受信廃止は、「メールが使えなくなる」わけではありません。本当に困るのは、Gmailを“単なるメールアドレス以上の存在”として使ってきた人たちです。影響を受けるユーザーは、大きく以下のタイプに分類できます。

Gmailを「世界最高のスパムフィルター」として使っていた人

プロバイダのメール、独自ドメインのメール(さくら/エックスサーバー/GMOなど)などをGmailにPOPで受信し、世界最高レベルのGmail迷惑メールフィルターのメリットを享受してきたユーザーは代替策を考える必要があります。

Gmailを「インストール不要なメーラー」として使っていた人

セキュリティレベルの高い会社であれば、社内のPCに勝手にソフトをインストールすることはできません。Webブラウザだけで完結するGmailをインストール不要なメーラーとして使っていたユーザーは困ることになります。Gmailは引き続き使用できますが、外部メールの取り込みはできなくなってしまいます。

複数アドレスをGmailに集約していた人

会社で複数のアドレスを運用している、プロジェクトごとにメールをわけている、そしてそれらのメールをGmailで一元管理し、ラベルやフィルタで運用している。せっかく作った仕組みを見直す必要に迫られます。

IT管理者・制作会社・保守担当者

お客様のご要望で過去にGmailにPOPの設定を行っていた場合、今回の仕様変更の影響を受けることになります。お客様からすれば「急にメールが受信できなくなった」状況に他ならず、状況の説明や解決策の提案などが必要になることが想定されます。

現実的な解決策

GmailのPOP3受信廃止により、これまで多くの現場で使われてきた「Gmailを便利な受信ハブとして使う運用」は終わりを迎えます。今後も実用に耐える、現実的な解決策を紹介します。

Gmail転送+SMTP送信 ー POP廃止後も使える“暫定回避策”

GmailのPOP3受信が廃止されても、「Gmailを読む場所・送る場所として使い続ける」方法は残っています。それがGmail転送+SMTP送信 という運用です。

① 受信:サーバー側 → Gmailへ「自動転送」

  • 独自ドメインのメールサーバーで「受信したメールをGmailに転送」
  • Gmailは「受信箱」として使う

サーバーからGmailへ転送する設定例(さくらインターネット)

さくらインターネットを例に転送方法を解説します。サーバーのコントロールパネルにログインします。

左メニューから「メール」ー>「メールアドレス」を選択します。

メールアドレス一覧が表示されます。転送したいメールの「設定」ー>「詳細設定」を選択します。

「メール利用範囲」の中に「転送先アドレス」の項目がありますので、転送したいメールアドレスを入力します。

「保存する」をクリックします。

② 送信:Gmail → サーバーのSMTPを使って送信

  • Gmailの「別のメールアドレスから送信」機能を利用
  • 実際の送信は 元のメールサーバー経由

GmalにSMTPを設定する

Gmialに別サーバーのSMTPを設定します。Gmailの右上の設定アイコンをクリック、「すべての設定を表示」をクリックします。

設定画面が表示されます。タブから「アカウントとインポート」を選び、「名前:」の項目にある「他のメールアドレスを追加」をクリックします。「Gmail を使用して他のメール アドレスからメールを送信します」とあるとおり、この機能を使用します。

ちなみにこの画像の下部に表示されている「他のアカウントのメールを確認」が2026年1月からなくなる予定のPOPの設定項目です。

メールの設定ウィンドウが立ち上がります。メールアドレスの設定を行います。「エイリアスとして扱います」は通常はチェックしたままで問題ありません。入力後に「次のステップ」をクリックします。

以下、SMTPの設定方法は本題から離れますので今回は省略します。

制限はあるがこれまでに近い感覚で使用できる

設定は以上です。独自ドメインのメールが全て転送されてGmailで読むことができ、メールの送信もGmailからシームレスに行うことができます。あくまで転送されたメールですので、ToやCC、BCCの扱いなどには注意が必要です。送信の際にもGmailと混同しないようにしましょう

メールクライアントによる“逆集約”

もうひとつの解決策はThunderbirdのようなメールクライアントでGmailを受信することによる一元管理です。Gmailで一元管理することを諦め、Gmailを普通のメーラーで受ける逆パターンです。

多くの職場ではメールソフトを選べない

Thunderbirdを例に挙げましたが、OutlookやApple Mail(Macの標準メールアプリのこと)などでも構いません。多くの会社で採用されているであろうこれらに集約するというわけです。

Gmailのメリットはすべて捨てる覚悟

Gmailに集約していたユーザーの多くは、その検索性能、対スパム性能、ラベル管理、安定性などに魅力を感じていたでしょうから、その多くを切り捨てることになってしまいます。せめてThunderbirdを使いたいところですが、現実には難しい職場も多いでしょう。

クラウドメールへの統合

これは解決策でもなんでもありませんが、これを機に職場の採用しているクラウドメールへ統合していくのも一考の余地はあるかもしれません。Microsoft 365やGoogle Workspaceなどのサービスは今後も(名前は変わるかもしれませんが)存続はしていくでしょうから、統合先としては有力に思えます。

なぜGoogleはPOP機能をやめるのか?背景と理由

POP機能およびGmailifyをやめる理由については公式では言及されていません。昨今の流れを踏まえて主な理由として推測されるのは次の3点です。

POP3は古いプロトコルでセキュリティリスクが高い

POPは1990年代の技術であり、平文での認証や暗号化の弱さが問題視されていました。Googleは「不要なレガシーを切り捨てる」方向性を近年強めているように思えます。

マルチデバイス時代はIMAPが最適

一人が複数端末を持つことが当たり前になった現在では、各端末でメールの未読/既読/振り分けを管理する時間的コストが無視できません。マルチデバイス時代においてはサーバーと同期するIMAPが最適です。

Google Workspaceへの移行

GmailでPOPメールを受信するという機能はGmailを無料メーラーとして使われるということでもあります。Google Workspaceへの移行を推進する同社にとって今回の決定は必然といえるのかもしれません。

まとめ GmailのPOP廃止は「メールの考え方」が変わったサイン

GmailのPOP3受信廃止は、単なる機能削除や不便化ではありません。それは、「メールを個人の裁量で寄せ集める時代の終わり」を意味しているようにも思えます。

GmailのPOP受信は、ブラウザだけで完結し、外部メールを自由に集約可能、高性能な検索・フィルタ・スパム対策、アプリ不要、個人判断で導入可能と唯一無二のブラウザメーラーでした。こういった形態はセキュリティやガバナンスの観点から、今後は存在できないのかもしれません。

GmailのPOP廃止は、「メールをどう使うか」ではなく「どこに置き、誰が責任を持つか」を自身に問い直す良い機会となるかもしれません。奇しくも2025年12月31日に機能が廃止されるのも何かの縁。2026年を迎えるにあたり、メール運用を再設計してみるのもよいかもしれません。

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